2016.06.24

【法令ニュース】電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)等の一部を改正する法律の成立

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)等の一部を改正する法律が、2016年5月25日第190回国会(常会)で成立し、同年6月3日に公布されました。一部の規定を除き、2017年4月1日から施行されます(附則第1条柱書。ただし、以下4に記載する「賦課金減免制度の見直し」は、2016年10月1日に施行されます。)。

 

2012年7月に、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(以下『再エネ特措法』といいます。)」に基づいてFIT(固定価格買取制度)が開始されて以来、同制度の対象となる再生エネルギーの導入量が概ね倍増しています。

他方、FITについては、①FIT認定量の約9割を事業用太陽光が占めているため、電源間でのバランスのとれた導入を促進すること、②買取費用が約1.8兆円に到達しており、国民負担抑制のため、コスト効率的に導入を促進すること及び③一昨年の九州電力等での国民負担抑制のため、電力システム改革の成果を活かした効率的な電力の取引・流通を実現すること等の課題が指摘されていました。

再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制を図るため、固定価格買取制度の見直し等が行われます。主な改正内容は、以下のとおりです。

 

1. 新認定制度の創設について

再生可能エネルギー発電事業者の事業計画について、その実施可能性(系統接続の確保等)や内容等を確認し、適切な事業実施が見込まれる場合に経済産業大臣が認定を行う制度が創設されます。

 

2. 買取価格の決定方法の見直しについて

調達価格の決定について、電源の特性等に応じた方式をとることができるようにするため、電気の使用者の負担の軽減を図る上で有効である場合には、入札を実施して買取価格を決定することができる仕組みが導入されます。

また、開発期間に長期を要する電源などについては、あらかじめ、複数年にわたる調達価格を定めることが可能となります。

 

3. 買取義務者の見直し等について

広域運用等を通じた再生可能エネルギー電気の更なる導入拡大を図るため、買取義務者が小売電気事業者から一般配電事業者等に変更されます。

また、買い取った電気を卸電力取引市場において売買すること等が義務づけられるとともに、供給条件を定めた約款について、経済産業大臣への届出を義務づける等の措置が講じられます。

 

4. 賦課金減免制度の見直しについて

電気を大量に消費する事業所における賦課金の減免制度について、我が国の国際競争力を強化するという制度趣旨が明確化されるとともに、この制度の対象となる事業者の省エネルギーに向けた取組を確認することができるように制度が見直されます。

 

再エネ特措法等の一部を改正する法律の成立により、2017年3月31日までに、電力会社との接続契約を締結されていない場合、原則として、現行制度の認定が失効します。

接続の申込みをされていない方は、工事負担金の算出等に一定の期間(9ヶ月程度)かかることがあるので、早めの接続の申込みを行なう必要があります。

既に接続契約を締結されている方は、新制度の認定を受けたものとみなされ、新制度が適用されます。ただし、改正法施行後一定の期間内に書類を提出すること(10kW未満の太陽光発電の場合を除く。)が必要となり、一定の期間内に運転開始等の条件が付される可能性があります。

 

参考URL  経済産業省HP

http://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160603009/20160603009.html

http://www.meti.go.jp/press/2016/05/20160525005/20160525005.html

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